日本工芸館 琉球染織展 明日から
すでにお知らせしております通り、明日10月5日(木)から7日(土)まで、大阪難波の日本工芸館で琉球染織展を開催します。
初めて来られるときは少し場所が解りにくいかもしれませんが、大阪府立体育会館の裏手になります。
日本工芸館HP
http://www.nihon-kogeikan.or.jp
もう恒例になって、何回やってるか解らないくらいですが、毎回多くの方にご来場いただいて、楽しみにしている会です。
日本工芸館は、三宅忠一さんという民藝運動家が作った日本民藝協団という団体が運営する施設です。
民芸団体といえば、東京駒場の日本民藝協会がよく知られていますが、大阪の民芸協団は、三宅忠一さんがそこから独立して起こした団体です。
柳宗悦らが本来の民芸のあり方から外れて、作家主義へ傾倒していくのに反発して作った協会ということのようで、それだけに民芸の神髄がここにこそ表現されているという感じです。
三宅忠一さんは、大阪の北新地などにある『スエヒロ』というしゃぶしゃぶで有名なお店を経営されていて、そこは大変おいしいお店なのですが、我々商人にも寛容で、工芸館の一室を商業利用にも貸し出してくださるのです。
ここは、商人や問屋を眼のカタキにした柳宗悦とは大違いです。
難波の工芸館に行くと、小鹿田(おんだ)焼がたくさん展示されいますが、元々は水瓶のような大きな物しか製造していなかったそうです。
三宅さんは現代の生活に合う様、小さい物をつくれ、と指示しますが、そこは手仕事。
大きいものを作る手になっているので、小さいものはすぐすぐできないのです。
そこで諦めない、生活に合う様に改良するために努力を惜しまなかったというのが三宅さんの凄いところです。
柳たちが『そのままで』と言い続けたのとは大違いです。
三宅さんは『つくったものは全て取るから作りなさい』といって、まずは傘立てくらいのを作らせたんだそうです。
当然、品物は溜まってきます。
それを、スエヒロのお客さんに無料で配ったのだそうです。
その努力があって、食器なども作れるようになり、今の子鹿田焼はあるんですね。
つまり、実業家としての経済力・行動力があってはじめて、現代の実際の生活で使われる『民藝品』『工芸品』は命をつなぐことが出来るということなんです。
現在は息子さんの三宅清さんがしっかりと後継されていて、『民芸の灯を消してはならない!』とご高齢ながら意欲満々です。
『民芸』というのは作り手にスポットが当てられがちですが、実は鑑賞者にとって大きな示唆を与える概念だと私は思っています。
すべての雑念を取り払って、直観のみで器物を見る。
その眼を磨かなければ、どこのだれが、いつ作って、その作家の受賞歴は・・・なんてことを延々と追い続けなければなりません。
しかし、本来の器物の美的価値はその作家の属性とは全く関係がないのです。
美しい花は、だれが育てたとか、どんな肥料をやったとか、どこで咲いていたとか全く関係無いのと同じです。
まさに『民芸花のごとし』
野山に美しい花を探すように、染織や陶芸や漆器を見てみてください。
それはきっと、みなさんの生活を豊かにしてくれるはずです。
多数ご光来、心よりお待ち申し上げます。
竹渓宗安 拝
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